中間報告に対する私見

これまでも業務改善命令や業務停止命令等が行われた際、内部管理体制について金融庁は言及してきましたが、今回の中間報告はかなり辛口です。

思ったのが、セキュリティ等の内部管理体制もしっかりと出来ていないのに、TVCMや広告宣伝、独自トークンの発行といった目先の利益にとらわれて、顧客保護を怠っていた取引所の姿勢が取りざたされています。

金融庁に言わせると、「法令等のミニマムスタンダードにも達していない内部管理体制」だそうです・・一企業として法律を遵守してこなかった取引所を利用していたことに恐ろしさを感じます。

内部監査も形だけで、マネーロンダリング対策も十分でない、顧客から預かっている資産管理もかなりずさんな形で行われていたようです。

今回の報告内容は、悪い意味で想像の斜め上をいくというか、看過できない内容であると思います。

本来であれば、仮想通貨やブロックチェーンの普及にイニシアチブをとっていかなければならないはずの取引所がこんな体たらくであれば、金融庁が規制を強化せざるをえません。

日本の金融庁の規制は強すぎると昨今言われていますが、本当に良心的な取引所だけが残り、ずさんで悪質な取引所が淘汰されていく仮想通貨市場を形成していくためにはやむを得ないのかもしれません。

以前は、先進的であると言われた日本の仮想通貨市場は、現在は世界からとり残されて、想像以上に酷い状態です。

仮想通貨交換業者が今回の件を真摯に受け止めて、内部管理体制等といった業務改善に取り組み、信頼出来る取引所のみが金融庁規制の下、取引所として残っていける市場になるよう願っています。

「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめの公表について」まとめページ

平 成 30 年 8月 10 日
金 融 庁
仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめ
Ⅰ.背景

1.金融庁の取り組み
ビットコインに代表される暗号資産(いわゆる仮想通貨、本とりまとめにおいては、以下
「暗号資産」で基本的に統一)については、
(1) テロ資金等に利用されているとの指摘もあり、FATF(金融活動作業部会)等から、
マネロン・テロ資金供与対策の観点からのルール整備が求められていたこと
(2) 国内でも、2014 年、当時世界最大規模の仮想通貨交換業者が破綻するという事案
が発生したこと
等を受け、2016 年、資金決済法等を改正し、仮想通貨交換業者に登録制を導入するとともに、事務ガイドライン1等を整備し、2017 年 4 月、仮想通貨交換業者に対する新しい制度の
運用が開始された。
金融庁では、暗号資産に係る取引が高度で複雑なシステムによりグローバルに展開され
るなどの特性を踏まえ、2017 年 8 月、金融庁内にシステムやマネロン・テロ資金供与対策
の専門官等で構成される「仮想通貨モニタリングチーム」を設置し、仮想通貨交換業者の登
録審査・モニタリングや、暗号資産に係る情報の収集・分析等を行うこととした。
登録審査に当たっては、仮想通貨交換業者のリスク特性を踏まえ、例えば、内部管理規
程についての書面での審査に加え、業者を実地訪問して規程の運用状況を確認するなど
の審査を行い、現在までに 16 社を登録した。
なお、登録審査の過程において、登録拒否要件には該当しなかったものの、登録業者各
社において種々の課題が把握されており、それらの課題のリスクに応じて濃淡をつけたモ
ニタリングを実施している。
さらに、金融庁では、消費者庁、警察庁と連携しつつ、暗号資産の価格変動リスク等や

(以下略)

仮想通貨取引所のずさんな内部体制が露呈、新規に仮想通貨交換業の登録を目指す業者の要件が厳しくなる

2018年8月10日、仮想通貨交換業者への検査等に対し、金融庁は中間のまとめ報告を発表しました。

昨今、仮想通貨交換業者が市場規模のシェアを拡大していきましたが、コインチェック事件以降、ユーザーの資産や内部管理等のずさんさが公になり、日本では金融庁が仮想通貨交換業者の新規登録の厳格化が進んでいました。

今回のまとめ報告において、急速に仮想通貨交換業者が業務規模を拡大していき、年間で約6〜7倍の約6928億円になっていることが分かりました。

2017年末頃から、仮想通貨市場はバブルな色合いを見せて急速に盛り上がっていったが、預かっていたユーザーの資産に対し、少ない取引所職員で管理しており、1人平均で約33億円も資産を管理していたことになることが判明しました。

問題点の多くは要約すると下記の通りである。

  • 事業が急速に拡大はするが、業者のシステム的な整備が追い付かず、ユーザーの保護や内部の体制がきちんと整っていないケース
  • 仮想通貨交換業において、金融庁から指摘を受けている点は多く、業務が拡大していくスピードにシステムの増強や人員の増員が追いついていない点

再度コインチェックの時の様に、仮想通貨交換業者の内部管理体制がずさんなことに端を発した事件が起こったら、世論的にも金融庁が監督責任を問われかねないので、今後、金融庁の交換業者への新規登録審査は一層厳格化されていくと見られています。

なお、コインチェックを買収したマネックスグループは、仮想通貨交換業の登録と仮想通貨取引のサービスを再開するメドを8月と表明していますが、金融庁はコインチェックのような「みなし業者」の登録について、「業務改善命令により提出を受けた報告内容によって検証していき、登録可能かを個別に判断していく」という趣旨のコメントをしています。

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